句会Q

斎藤秀雄 さん

二つ読みがある。
【1】〈冬至湯の玩具〉が〈アダムとイブになる〉。
アダムはつちくれから、イブはアダムの肋骨から作られた。ここで重要なのはアダム、つまり土が呪われている（結果、汗水たらさなければ食物も得られなくなった）ということだ。冬至湯には一般的に柚子の実を浮かべる。呪われた土地で育まれた柚子の実（玩具）は、アダム（つちくれ）へと還り、土の肋骨はイブすなわち原罪になる。しかしこの『失楽園』の物語も、冬至湯の湯が抜ければ終わる。すべては風呂桶のなかでの「ごっこ遊び」（という名の儀式）だったといえる。
【2】〈冬至湯〉に入っているモノが〈玩具〉でありそれは〈アダムとイブになる〉。
ここでの「モノ」は、お風呂用のおもちゃと文字通りとることもできるし、入浴者ともとれる。後者の場合、二人であることも考えられる。文字通りおもちゃであれば、【1】と同様、風呂桶のなかで『失楽園』を追体験する「ごっこ遊び」（儀式）がとり行われる。より象徴的になる想定は、ゲイ男性二人の入浴、という想定だ。この場合、アダムとイブは混交する。どちらがアダムでどちらがイブとも言えなくなる。境界を侵犯し、原罪の意味が換骨奪胎される。これにより、『失楽園』の追体験の儀式は、神話の脱構築的読解そのものとなるだろう。（2017/12/23）

由野 さん

健康ランドか日帰り湯ですね。仕事も追い込みの時期です。早く家に帰れますように。季節感凄いなぁ。お見事です。（2017/12/25）

あるきしちはる さん

銭湯での一場面でしょうか。居合わせたの他人同士、それぞれにそれぞれの生活があるという気づきの句と思いました。冬至の頃の忙しなさや寒さと湯のあたたかさの対比も効いていると思います。（2017/12/23）

ウインド さん

「目に見えぬ傷」とは心の傷なのか、それとも仕事疲れやストレス、鬱、不安の事なのかという事を思わせられますね。（2017/12/28）

八馬星 さん

風呂に浮かぶ柚子のプカプカと、海底の蛸壷の中の蛸の吹く口笛のピュウピュウの共鳴。二物衝撃と詩的世界の両立の秀句。（2017/12/24）

蘭子 さん

一番、ぬくもりの感じられるお湯を選びました。溢れるようなお湯に浸れる幸せが感じられて良いです。ひらがな表記もお湯の柔らかさが出ていて良いと思いました。（2017/12/24）

ウインド さん

冬至湯の残り湯で洗濯と言っただけで、冬の時期の洗濯だけでなく、洗濯物を干している時の外の空気の冷たさの感触まで伝わってきました。（2017/12/28）