雑詠Q vol.28

雑詠Q vol.28

【開催期間】
投句の締切:2018/09/15 21:00
選句の締切:2018/09/22 21:00

  • 総投句数:14
  • 終了日時:2018年09月15日21時00分
  • 選句に参加した投句者には1点が加算されます。
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徒歩二分のバベル傾いで秋扇

斎藤秀雄 さん

この〈秋扇〉は、いままさに使われているのか、それとも役目を終えて置かれようとしているのか(あるいはすでに置かれたのか)。もし〈徒歩二分のバベル傾い〉だ理由が、熱による大気のゆらめき(かげろう)にあるなら、まさに使われている(使われようとしている)ということにもなる(この読みが素直なのかもしれない)。けれど、このバベルの塔もまた、とても大きなものの喩のように思えて、傾いだまま揺らがないような感触もある。と同時に、コンビニや銭湯のようなこじんまりとしたものの喩のようにも思え、そうすると揺らぐ。〈徒歩二分〉だとイオンなどではないだろうし(車でないと行けない)。喩として読むのも誤りのような感じもあって、近所のバベルの塔がいままさに崩壊しようとしているところなのかもしれない。まさに言語の混乱の現場、価値観の混在の場に、たった〈徒歩二分〉も歩けば行き当たる、と(喩として)読めば、俳味のある社会詠としての読みも可能。さまざなま読みが可能で、複数の像がセル画のように重なり合って、揺らいでいる。その揺らぎの中で、〈秋扇〉は扇ぐ役目を取り戻して手に取られたり、畳に置かれて「捨扇」になったり、こちらも揺らぐ。この揺らぎを楽しむ句のように思った。これらの複数のセルがを束ねるのが、扇の要なのかもしれない。(2018/09/16)

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産毛ごと耳舐めてやる水蜜桃

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君の手は翼にも似て秋桜

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薄霧やぬるい珈琲飲む未練

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秋の蜂古書店街の色を持つ

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坂道を転ぶ不器用君と桃

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給湯器直すか買うか秋日和

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終ひ湯の母の背中や鉦叩

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扁桃腺腫れ飲み込めぬ月見酒

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邯鄲のこゑ恋人の乳に這ふ

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誕生日に居場所がない

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連勝の止まる押し出し里の秋

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やれはすの穴から光通りをり

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少々の遅刻のおかげ秋の虹

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