雑詠Q vol.30

雑詠Q vol.30

【開催期間】
投句の締切:2019/01/05 21:00
選句の締切:2019/01/12 21:00

  • 総投句数:16
  • 終了日時:2019年01月05日21時00分
  • 選句に参加した投句者には1点が加算されます。
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樹海いま海底ならむ初茜

猫愛すクリーム さん

まさに今新しい年が目覚めようとしている茜色の空。
それとは裏腹に冷たくて哀しい樹海。死体も転がっているだろう。
一度足を踏み入れたら二度と戻れない世界がそこに存在する。
まるで海の底のように暗い樹海ではあるが、そこでしか生きられない生物もいるだろう。
生と死ては常に隣り合わせである。(2019/01/05)

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4

義実家で食べる図鑑で見た雑煮

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4

あと幾度書く平成か冬ぬくし

4
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おそろいのニューバランスや梅の花

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福引の玉の出方が地動説

山内彩月 さん

自分の立つ地面は常に動いて変化している。何色の玉が出るのかわからない福引の回転が、地動説にどこかでリンクしているような気にさせられて、面白いなと思いました。(2019/01/07)

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桃柄のマッチひと擦り去年今年

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五日かな三日坊主の照れ隠し

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まっくらな呼吸のエコー山ねむる

斎藤秀雄 さん

【山ねむる】が、「斡旋された」季語という感じがしなくて、ほとんど季語の本意をそのまま句にしたんじゃないか、と思うような端正さを感じました。人も虫も動物も植物も、山も眠る。雪も水も。海は眠らないかもしれない。荒れ狂うので。【山眠る】は郭煕の画論に由来する季語だけれど、日本の文脈で捉え直すなら、平野部の(つまり農民、折口信夫の「常民」の)民間信仰に合致するような気がする。神道とか、仏教とか以前の。マタギやアイヌは冬に狩猟をするから、また別かもしれない。この句では〈呼吸のエコー〉が鳴り響いていて、まさに「冬ごもり」という感じがして、春にむかって待機状態であることがひしひしと伝わる。つまり、しんとしてすべてが死んでいるのではなくて、むしろ鼻息荒く、待っている。雪も山の上で、みずからが溶け出すのを待っている。〈まっくらな〉は第一義的には、夜としての冬から朝としての春へ、という時間帯のメタファーとして感じられるけれど、あらゆるものが地中にもぐって冬眠している、草野心平的な蛙メタファーとして読んだ。都市に生活していても、目まぐるしくて夜のない都市だったとしても、つまり意識はずっと明るい中にとどまっていても、こう言ってよければ魂みたいな部分は、冬の間、地中で鼻息荒く春を待っているのではないか。……などということを、この句を読んで妄想しました。(2019/01/11)

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初夢に見たかったのは君の顔

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あけおめの既読を待って閉瞼す

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永遠を巻くクリームや初夢の

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喰積の買い漏らしたる甘いもの

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正月はウォーリーも休みらしい

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凍て風の真夜や生理痛を痛し

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他に倣ふばかりの人生(みち)や鏡餅

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平安の玉眼の奥吹雪ける

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