句会Q

斎藤秀雄 さん

谷川俊太郎によって翻訳された、そしていまでも小学2年生の国語の教科書に掲載されている、レオ・レオニの絵本『スイミー』。〈水仙〉から「水」のイメージ、ここでは賢い黒い魚のスイミーが海を放浪するイメージへは、容易に接続する。ただしここでは、ただの水仙ではなく〈黄水仙〉。季節も冬から春へ変わる。だから、すこし華やかな感じがする。この〈黄〉のまぶしさ、暖かさが、〈午後〉と軽いタッチで接続し、一句全体が、軽やかになっている。この軽やかさが、また、「春眠」「うららか」といった季語を想起させ、一句全体が、さりげない春らしさを満たしたものになっているように思う。（2019/03/23）